92人が本棚に入れています
本棚に追加
「あんたも、もう25なんだから」
そう母に言われて、軽い気持ちでお見合いをした。
付き合っていたはずの彼とは3ヶ月前に音信不通になっていたから。
外資系商社勤務、写真で見たときも思ったけど…
(結構イイ男かも…)
4歳上…29歳かぁ…でも、歳よりずっと若く見えた。
スポーツマンで会話も楽しいし、連れて行ってくれるお店もいい感じ。
背が高くて肩幅もあるのに甘い顔立ちで…そのギャップに少しドキッとする。
3回、4回と、お付き合いは順調に進んだ。
(そろそろ退職も考えなくっちゃ…)
勤め先の金融機関は、金融再編の折、吸収合併され続け、いつの間にか大手銀行になっていた。
(みずきは『わらしべ銀行』と呼んでいる)
ポジション的には中堅の位置にいる。年末に近づくこの頃は特に忙しい。
「疲れたねぇ…」
ロッカールームでみずきがつぶやく。
時計は7時半を差していた。
隣で着替えながら、千夜子は「そうだね」と笑う。
みずきは、半年前に今の支店に転勤してきた。
だから、入社のときから一緒だった他の同期に比べれば、千夜子とはそんなに深い付き合いはない。
陶器のような白い肌、無口でクールな印象の千夜子が、みずきは正直苦手だった。
それでも、同じ職場で唯一の同期の存在は貴重だ。
「お先に」
千夜子は手を振ってロッカーを出る。
「お疲れ様~」
みずきも笑って手を振った。
最初のコメントを投稿しよう!