2月の恋

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……………………………………… (え……) 至近距離に男性がいる。 一瞬、状況が掴めず固まった。 珈琲の香り、ここが喫茶店であることを思いだし、みずきははっと身体を起こした。 店内に他の客はおらず、時計に目をやると既に9時を回っていた。 「すみません、私っ……」 「慌てなくて大丈夫ですよ」 マスターは優しい笑みを向けて席を立とうとしたみずきを制した。 「でも、もう閉店ですよね?」 「この雨なので、早目に閉めたんです。何時もはまだ開いてる時間ですから」 マスターはカウンターに戻り、鍋を火にかけた。 「折角ですから食べていってください、ビーフシチュー」 落ちついた声がみずきをほっとさせる。 「ありがとうございます」 みずきは軽く頭を下げ、手にしたコートを椅子に戻した。
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