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「見ましたよ~」
週明けの月曜日、ロッカールームでそう囁いたのは、2つ後輩の菜穂だ。
「何を?」
「彼氏、素敵な人ですね~大人って感じで。お幾つですかぁ?」
「えっ……もぅ……」
菜穂は可愛い顔に似合わずなかなかの酒豪で、『店に行けば必ず知り合いがいる』というほど顔が広い。
そして年上好み。
「今日鍵当番でしょ?早く行きなさい」
「はぁい」
菜穂を部屋から追い出して、ホッと息をつく。
ロッカーを閉めようとして、みずきは手を止めた。
「千夜子?」
「え……」
「どうしたの……」
顔を覗き込まれ、千夜子はハッとしたように頬を拭う。
「何かあった?」
「……大丈夫」
千夜子は逃げるようにロッカーを出て行った。
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