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藤崎との約束の前日、みずきは映画館にいた。
小シネマで上映されるリバイバル映画を見るためだ。
少し前までは、一人でランチをしたり、映画を見たりする事が苦手だった。
今は、ひとりの時間を少し楽しめるようになった。
それも「大人になる」ということかもしれない。
クリスマス・イブイブの休日、街はカップルや家族連れで溢れているが、マイナー作品上映の映画館は人もまばらだった。
『恋しくて』
男友達から「好きな子ができた」と相談を受ける主人公。相手は美人で、お金持ちのお嬢様。
主人公は彼のために、お嬢様の気を引く作戦を考え、プレゼントを選ぶ。
自分の気持ちを押し殺して……本当は彼が好きだった。
2人が上手くいったのを見届け、彼女は笑って背を向ける。
キスもプレゼントも告白も…本当は自分が欲しかったもの。
二人に気付かれないように、泣きながら去って行く主人公…………
そして、彼は気づく。
本当に自分が愛しているのは、いつも側にいてくれた彼女だと……
追いかけて来た彼が主人公に想いを告げてハッピーエンド、何度見ても泣いてしまう場面だ。
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