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救急車に乗って運ばれている途中、俺は激しい痛みと闘っていた。
「あぁああぁぁ!!」
「悠紀…頑張って!」
美樹が強く俺の手を握っている。これがなかったら、俺はきっと暴れているだろう。
病院に着いて急いで治療室に入りレントゲンを撮る。痛み止めを打ってもらったので今はあまり痛まない。
どうやら俺の右足首は、折れるまではいかずひびが入っているだけらしい。毎朝走っていたことが骨を強くしてくれたんだとか。
「やく1ヶ月ほど入院すれば歩けるようになるでしょう。」
そう説明された。
ギプスで足を固め、吊して安静にする。これが一番早く治る方法らしい。
すべての治療が終わり、俺は個室に連れていかれた。
さっきまで母さんがいろいろと準備してくれていたが、美樹が来て、気を使って出ていった。
美樹の目は真っ赤に腫れている。
「大丈夫…なの?」
「1ヶ月入院したら大丈夫だってさ。」
「良かった…心配…かけさせないでよ」
美樹が涙を拭う。
「なぁ美樹?」
「ん?」
「俺…もう引退なんだよな?」
美樹がとても悲しそうな顔をする。
「あれだけ頑張ったけど…中学生最後の大会は終わったんだよな。」
今の自分の気持ちを全部美樹にぶつけた。
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