いざ、出陣。

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噂で聞いた話だが、俺は女子に意外と人気らしい。 別に話掛けられるから話してるだけなんだけどな…。 不意に美樹を見てみる。 何か呟いている。 目を凝らして口の動きを見る。 …わ…ら…こ…や…? うわ…し…ころ…やる? 『浮気したら殺してやる』かっ !? しかも眉間にシワが寄っている。 はっきりいって鬼に見える。 と呪文を唱えている美樹の後ろから隣のクラスの佐藤健太が美樹に話かけた。 「た、滝口さん!お、おおはよう!」 たかが挨拶で緊張しすぎだろ… それに気付いた美樹が挨拶をする。 「佐藤くんじゃない。おはよう♪」 俺の見間違いか? 今語尾に『♪』が見えたような? 「今日も暑いねぇ?」 と続ける美樹。 あー…美樹猫になった。 大分前から猫を被った美樹のことを美樹猫と呼んでいる。 心の中限定で。 「か、かなり暑いよね!僕もう倒れそうだよ!」 「え、大丈夫?無理しないようにね☆」 「う、うん!じゃあまた後でね!」 「うん、またね♪」 そして佐藤は俺を睨みながら走り去って行った。 …あれ、なんか後ろからすごい視線を感じる。 あまりにも背中がちくちくするので試しに振り返ってみる。 美樹が…美樹が…
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