46683人が本棚に入れています
本棚に追加
疲れなんか気にせず俺はゆっくりとペダルを漕いだ。
周りは田んぼだらけで誰もいない。人の気配もない。
「ねぇ」
「あ?」
「その…もたれちゃってもいい、かな?」
「は!?」
思わず胸の鼓動が強くなり、顔が熱くなる。
恐らく美樹も同じだろう。
二人乗りすることは今までに何回かあったけど、こんな展開は初めてだ。
「まぁ…こんな背中でいいなら…どうぞ?」
「こんな背中がいいの。」
そういって美樹がもたれかかってきた。
…やばい。
俺今絶対ニヤけてる。
「…頑張ってね。」
「ん?」
「明日、晴れたらいいね。」
「普通に晴れるだろ?」
「そうなの?」
「いや、わかんない。」
「何よそれ」
そんな話で笑い合いながら家に帰った。
今日の帰り道はいつもより短く感じた。…もっとゆっくり帰ればよかった。
そして、あっという間に時間は流れついに最後の大会。
市総体の日がやってきた。
最初のコメントを投稿しよう!