46683人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう試合終わったかな?」
「え?」
「拓也達、どうなったのか分かる?」
「それは…」
そう言い、美樹が下を向く。
「…負けたんだな?そうならはっきりと言えよ!!」
つい大声を出してしまった。
「なんで…なんで俺がこんな目に遭わないといけないんだよ!あそこで怪我さえしなけりゃ…!!ちくしょお!!」
そういってギプスを外そうとした瞬間、いきなり美樹の腕に包まれた。
「…いよ。」
何がどうなっているのかわからない。ただ、体の力が抜けていくのが分かる。
「…もういいよ。悠紀は頑張ったよ。あたしは知ってるから。」
「………」
目から涙が出てくる。止まらない。何もいうことができない。
「悠紀は…本当に頑張ったから。これ以上…自分を追い詰めないでよ。今の悠紀は…あたしの知ってる悠紀じゃないよ…。」
僕は何かが切れたように、ただただ美樹の腕の中で泣いた。
「もう無理しなくていいんだよ…」
もし美樹がいなかったら俺はどうなっていたんだろうか。
…考えたくもない。
最初のコメントを投稿しよう!