【始まり】

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叔父さんを見た瞬間 私は眼が変になったかと思った。 口からは小さく   『ぇっ…』   と言葉が溢れた。   そこに居る叔父さんは、真っ黒な影を全身に纏っていた。 叔父さんが歩く度に影は増々広がり飲みこんで行くよぅであった。   『ほら、ちゃんと挨拶をして』   祖母の声に我に帰り 中途半端に開いたままの口で   『こんにちゎ…』   と、影に見られている感じがしつつ 挨拶が出来た。       これが私の初めての体験。   後日、母から   『叔父さんね、亡くなったんだょ』   と聞かされた。         一週間後のことだった。
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