【とどけ】

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水谷が。                       片思い。                           「えぇえぇえ!」 嘘!! だって水谷だよ!? 片思いとか絶対ないとおもってた。 「・・あはは!そんなに驚くことー?」 困ったように笑う水谷。 「水谷でも片思いするんだなって思ってさ」 「うん・・」 どこか遠い目をする水谷。 見てるこっちが切なくなってくる。 「あ」 「え?何?どしたの栄口」 「いや・・えっと」 わかったかも。 水谷の好きな人。 「あのさ」 「うん?」 「水谷の好きな人って俺のクラス?」 「え」 「けっこう休み時間とかに俺のクラスにきてるしさ・・もしかしてって思って」 「・・あたり」 「えっ!マジで!」 やっぱり! そうでもなきゃ、そんなに頻繁に来ないよな。 そっか。 俺のクラスにいるんだ。 「ね、頭文字教えて」 「えぇ!!」 「いいじゃん!阿部には言わないからさー」 「・・べ・・」 「え、何?」 「なんでもないっ!頭文字・・Sかな」 「S?・・誰だろ」 頭文字、S。 で水谷のことを片思いさせてる子。 「・・サトウさんかな」 けっこう可愛いって人気だし。 「それは教えなーい」 水谷は手を後ろに組んで歩いてく。 「ここまできたら教えろよなー」 「ヒミツー」 「ったくー!」 そんなことを言ってるうちにグラウンドに着いた。 泉や花井がグラ整をしている。 「栄口、さっきのことは秘密だかんね」 水谷が耳元で囁く。 「どうだかなー」 「えぇっ!さかえ・・」 「邪魔」 名前の途中で地面に突っ伏した水谷。 背中には見事靴跡が。 「ちょ・・口に砂入ったんですけどっ」 「一生砂でも食ってろ」 「あはは」 「栄口。こんなやつと付き合ってると守備がヘタになっぞ」 「ほら!そこの三人!!早く準備する!」 と、モモカンの声。 「やっべ!こんなクソ置いて行くぞ」 「ヒド!待ってってばー」 「水谷、早く!」
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