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正直理解できなかった。いや、したくなかった。これが現実なら俺はとんでもない環境にいる事になる。
大体何物だ?コイツ。こんな事が出来るなんて化物じゃないか。
「我輩はその時日課の散歩をしておってな。そこで貴様の肉塊を見つけたのだ。」
言ったと同時に記憶のソイツが裏道に歩いて来た。やはり、この衣裳だ。
「そして貴様を見つけた。来た時にはすでに死んでおった。」
記憶のソイツは俺の死体を無視して去ろうとしていたが、思い返したのか、俺の死体に手を触れると、死体は跡形も無く消え去った。
「あれは我輩の屋敷に先に送っておいたのだ。わざわざ持って帰るなど愚行だからな。」
俺はたまらず口を挟んだ。
「あんた何者なんだ?人間じゃないだろう。」
「当たり前だ。人間と同等にしてもらっては困る。我輩は人間共のいう吸血鬼の始祖たる者。吸血鬼の王。ドラキュラ伯爵と人は呼ぶ。」
正直呆れた。ドラキュラ?物語の中の空想じゃないか。下らない。存在するものか!
「貴様が信じなくなくとも我輩は実際に存在する。ドラキュラの話も作者が我輩をモチーフにしたのだよ。」
俺のそんな声を察知したのか伯爵とやらは反論してきた。
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