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だが、これで終わりでは無かった。
「よく見ておけ。これから加工が始まるぞ。」
伯爵の言い方に妙な違和感があったので、嫌な予感が頭をよぎった。
次の瞬間、その予感は当たってしまった。
記憶の俺の顔が、怪しい機械で溶かされていたのだ。
俺は目を疑った。じゃあ、今の顔は俺の顔じゃないのか?
俺が呆然としていた間も伯爵の言う加工は進んでいった。
顔を完全に溶かし、顔を骨格ごと変え、眼球を交換し、歯も全て抜いた後、歯を新たに移植し、顔のパーツを整え、次第に別人の顔になっていく・・・・
俺はたまらず言った。
「何で顔を変える必要がある!?これじゃ別人じゃねぇか!」
「過去を蒸し返してどうする?貴様は人間界では死んでおるのだ。人間界に貴様の居場所はない!だから貴様の過去を消したのだ。もう諦めてこの世界で我輩に永遠に仕えろ。」
伯爵は感情的だが、冷徹に言った。
伯爵の言葉は冷たいが、事実だった。変えられない事実。人間界に俺の存在は許されない。それは分かってる。でも・・・・
「何でだ!何で俺なんだ?何で俺がこんな目に?そうだ。俺の死体は見つかってないんだろう?だったらまだチャンスが・・・・」
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