始まってしまった夜

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―窓の外には秋がもう目の前に来ていた。夏には青々としていた木々の葉も今では紅く染まり始め、空もいよいよ秋めいてきていた。 そんな風に自分の世界に逃避していたためか、俺を呼ぶ声に気付くのに数秒かかった。 「・・・・くん!黒江くん!ちょっと聞いてるの?」 気がついて黒板の方を見ると、委員長が明らかに苛立った表情を浮かべ、射るような鋭い視線を俺に向けてきた。 「ちょっとばかし考え事をしてて、何の話だったっけ?」 またも、委員長の鋭い視線が俺を射る。視線に力があったとしたら確実に俺を貫くに違いない。 「文化祭の役割分担の話です!あなただけがまだ決まってないのよ。」 委員長は半ば呆れ果てていたようだった。 「それはすまない!で、何の役が残ってるんだ?」 精一杯反省の念を浮かべた俺に、委員長はようやく許してくれたのか全てを包容するかのような穏やかな表情を浮かべ、 「材料の調達班が一名足りないので、黒江くんにはそこに入ってもらいます。それでいい?」
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