始まってしまった夜

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そして何より!ソイツは俺の事を下僕扱いしやがった!こいつまともじゃない! 俺の静かな怒りに気がついたのか、ソイツは不可解という顔をした。 「何を怒っておるのだ。我輩に楯突く気か?下僕風情が。フッ、笑わせる。」 その一言で俺は今まで溜まった怒りをソイツにぶつけた。 「何で俺がアンタの下僕なんだ!だいたい此処はどこだよ!アンタは俺を誘拐でもしたのか?」 ソイツは演劇の様にわざとらしく落胆の素振りを見せた。 「おぉぉ、何と記憶が混乱しておったか!それならば我輩が記憶を正してやるしかあるまい。」 俺が言葉を発する間も無く、ソイツは俺の頭に手をやると、俺の意識は落ちていった。――― 「起きろ下僕よ。」 俺はソイツに文字通り叩き起こされた。かなり痛かった。 「痛ったぁぁ。!、ここってあの場所か?」 そこは俺が殺された裏道だった。 「そうだ。そして貴様はあそこで肉塊と化しておる。」 指差す先には俺がいた。 「な、何で?どうして俺が二人いる?」 頭がおかしくなりそうだった。 「この空間は貴様と我輩の記憶を元に創った空間だ。だから、夢でも何でも無く、現実の出来事という訳だ。理解したか?」
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