フレンズ

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春になり、あたしは遂に憧れの土地、京都に足を踏み入れた。 アパートも決まり、数週間の研修を経てあたしは添乗員になった。 「あ、明後日夏休みのツアーの下見に伊藤君と行ってもらうから。頼んだよ」 新入社員の歓迎会を兼ねたお花見が円山公園であり、あたしはその帰り道支店長に声をかけられた。 「はい、わかりました。あの、コースは…」 まだ行程とか聞きたい事はあったけど、真っ赤な顔で千鳥足の支店長に聞いても無理かな、と思いやめた。 その日あたしは帰ってから酔いの回った体を頑張って動かして、泊まりの準備をした。 髪をかきあげると、桜の花びらがひらりとトランクの中に落ちた。 ――円山公園の夜桜、綺麗だったな…あたし、やっぱりここに来てよかった……。 そしてあたしはそのまま眠りについてしまった。
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