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――あれから二年...
ふと、窓の外を見ると、桜が満開だ。
桜の花びらがひらりと手の甲に落ちた。
ノックの音であたしははっと顔を上げた。
「失礼しまーす。心の準備できた?」
「あ、ドレスめっちゃ似合ってる~!ブーケもいい感じ」
「ブーケありがとね、ひかる。さすが華道の先生だわ。再来月には留学でしょ?頑張ってね」
「ありがと、結婚する時はブーケ作るって高校の時から約束してたでしょ」
「繭子も歌、楽しみにしてるね」
「まかせて、昨日もカラオケ三時間練習してきたから」
繭子がにっこり笑った。
「二人とも、本当にありがとう」
あたしは友達の優しさが嬉しくて、もぅ泣きそうになっていた。
「も~泣くの早いから~!」
「あれ?またガム食べてたの?」
ひかるがキスミントのピーチミント味を見つけた。
「あぁ、なんかね…高校の時から好きなんだよね」
「ふーん…よし!じゃあそろそろ行きますか、りょーくんがお待ちかねだよ」
「うん」
あたしは純白のウェディングドレスの裾を持ち、一歩、また一歩ずつ歩き始めた。
バージンロードの先で待つ、あの人の元へと……。
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