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月曜日、学校に行くと由梨はあたしと話をしたせいか、すっきりした顔つきになっていた。
あたしはよく由梨、川田美依、矢口絵茉、玉木さおりの五人で行動している。
そしてお弁当を食べるのも一緒だ。
その日の昼休み…
いつもの様に五人で机を合わせてお弁当を食べていると…
「あ、来た来た~」
笑顔の由梨の先には…
浩太がいた。
あたしは目を疑った。
―ナンデ コウタガ キョウシツニ クルノ?―
思考回路がおかしくなりそうだった。
少しは気を使って、廊下で喋ってくれると思ったのに……
「田中くーん、イス借りるねー!瀬川、ここ座って!」
浩太は少し居心地悪そうに、あたしの目の前に座った。
「はいっ!瀬川あ~ん」
由梨は超恋愛体質だ。
別にそれは悪いことじゃない。
でも…これは酷すぎる。
見ていられない。
「やだぁ~もぅ、エッチ~!」
瀬川の手が触れただけで、甲高い声で笑う由梨。
絵茉は由梨と家が近所で仲が良く、色々聞いてるせいか
「二人とも仲いいね~」
と無邪気に笑っていた。
美依とさおりは明らかにこの状況に戸惑っていた。
―モウ コレイジョウ ココニ イレナイ―
「あ!ごめん、ひかるにCD返さないとだから行くね!」
あたしはわざとらしすぎたかな、と思いながら教室を後にした。
そして三階の渡り廊下まで行くと、大きなため息をつき、涙をひとすじ流した。
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