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オルテガがフン、と力を込めて鉄の扉を開ける。
そして中の風景がロイの目に飛び込んで来た。
町の広場程の広さだが、飾り気が無く、設備も無い。
あるのは部屋の中心にある闘技場のフィールドの様な石畳だけだ。
その石畳の上で二人の男女が動いていた。
闘っていた、と言うべきなのだろうが、男の方は笑いながら躱し続けるだけなので闘っているとは言いにくいのだ。
「はっはっは~! どうしたシルフィー。全然当たんないぞ」
男は言いながら素早い動きで槍を躱す。
歳は20くらい。
髪は炎の様な目立つ紅で、鉢巻きの様に巻かれたバンダナがそれを上に立たせている。
左目は黒い眼帯で覆われ、片耳にだけピアス。
右胸から腰にかけての革の胸当てを付け、背中にはオルテガの程ではないが随分と大きい剣が担がれている。
そんな出鱈目な格好だが、槍を避ける動きの一つ一つに確かな実力を感じた。
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