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帰り道
これは私が高校一年の夏前の時のお話です。いつものように、友人との部活帰り…。「おつかれ~!」と、言葉を交わし友人と別れる。いつもは気にしない急な坂道を上って帰る。そこは森林がアーチ型に生い茂って、月の光が唯一のライト。良く言えば、神秘的に光る林道。悪く言えば、不気味に光る林道。風邪が吹けば、木々がしゃべっているようにも感じるほど、何とも言えない、異様な雰囲気が漂っている。そこを毎日、自転車を押して上っていく。
ある日、友人と話が盛り上がり、帰りが遅くなってしまった。夜になるとほとんど車が走らない道で、月の光が林道を照らしていた。たまたまその日は満月で、私はいつも以上に、林道が青白く光って見えた。心地よくも感じるそよ風がピタッと止まり、虫の鳴き声もまったく聞こえなくなった。まったくの無音。そしたら、だんだん耳が「キーン!」と鳴り響き、左から「パキッ!パキッ!」枝の折れる音が鳴った。不気味に感じ、逃げるように走って帰った。家に着くと、素面に戻り、親に怒られると思い、部屋に逃げ込んだ。そのまま、その日は親とも接触せずに就寝する。
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