嘘つきな彼方と嘘つきな僕

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気がつけば 僕の中には 貴方しかいなくなっていた 薄明かりの下で 微睡む 月のない夜は嘘つきな愛で染めて 誰も気づかないように ここから連れ出して 見えない 見えない 歪んだ鏡に映らない僕 砕け散った破片 抱きしめたら 血塗れになるでしょう 今の僕は透明なまま 夢を見ることさえ許されない 手首に滲む赤い鮮血 鉄格子から覗いた空は黒くて
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