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卒業式の帰り、私はバスの中で泣きじゃくっていた。
友人たちはなんとも言えない顔をしていた。苦いような、悲しそうな、迷惑そうな顔。私は気にもせずにタオルに目を押し当てて泣いた。よしきは私の頭をぽんぽん撫でていた。たくみは窓の外を見ていたし、めいはただ下を向いたり私の顔をのぞいたりしていた。
「あぁー、このメンバーだと落ち着くわあ」
私が空気の読めていないことを言う。
今は卒業式後の打ち上げに向かっているところだ。大学受験を控えている人はまだたくさんいるのだが、もう集まる機会もないだろうということで今日になった。私は受験も終えてその会議に参加した。皆勝手で、飽き飽きした。
「私ってどこにいるんだろう」
私がそう言うと、たくみが馬鹿にするように言った。
「バスん中だろ。……な、いい加減泣き止めよ」
「……」
めいもよしきも何も言わない。私は続けた。
「中学校のときはもっとうまく言ってたのに……私は人に必要とされたかった」
「なつきにはやすがいるじゃん」
めいが言った。
「恋愛抜きで……人として求められたかった。友達として。大事な友達として」
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