卒業式の帰り

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   よしきはわがままだと思っただろう。よしきには恋人が出来たことはない。高校3年生の夏に生まれた初恋もやぶれたくせに、まだその人のことを忘れないでいる。 「私も純粋に人を好きになりたかった」  めいとたくみが目をあわせた。二人は付き合っていた。 「もう恋愛は疲れたの……恋愛が絡まると友情なんて、簡単に破綻するのよ」  めいとたくみがまた目をあわせて、びっくりした顔をした。  私はぼそぼそと脈絡のないことを言っては、自分の高校生活を振り返っていた。やすも一番の親友だった。やすにいきなり告白されて、まだ忘れられない人がいたのに付き合った。その忘れられない人はやすに紹介された人で、私は2ヶ月しか付き合っていないのに初体験を済ませてしまった。またその前に付き合っていた人とはやすも四角関係にもつれて……そのときからだ、やすと仲良くなったの。なんて、情景が走馬灯のように、私の歴史を遡っていく。   「恋愛は、友情を壊すよ。ときに周りが見えなくなったり、ときに他の友達を傷つけたり、ときに友情の環を壊したり……」  めいとたくみは唯一の例外なのかもしれない。最初は驚いて冷やかしていたけれど、今だってこうやって4人で居られるわけだし。  
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