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――――『あのとき』
つい、一週間前。
まだ、暑さが残る頃。
俺は駅前で待ち合わせをしていた。
誰を待っていたかと言えば紬である。
今日は幼なじみ二人で…まぁある意味『デート』である。
紬の事は、嫌いでは無い。
いや、寧ろ好きだ。
だが、その好きがどんな好きか分かっていない。
それが現状だ。
兄妹みたいなものかもしれないし、それ以外かもしれない。
そんなしょうもない事を考えていると声を掛けられた。
「ごめん!待った?」
紬がサンダルをぱたぱた鳴らし、走りながらやってきた。
随分と走りにくそうなサンダルだ。
急いで走ってきたのか、はぁはぁと肩で息をしていた。
少しからかってやろうと思い、眉間に皺をよせ、敢えて不機嫌そうな顔を作って、言った。
「30分待った。」
「ぇえっ!ご…ごめんねっ!!」
…こんな素直な反応が見れるから面白い。
からかいたくなる。
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