*第三章* 過去ノ噺

3/11
前へ
/28ページ
次へ
  「嘘ウソ。うそだって。ほら、時間ぴったり。俺も今来たトコだからさ。」     「本当?」 「ホント。」     すると紬はにっこりと微笑み、   「なら、良かった。」   と、心底安堵したように言った。         こういう時にふと思うのだが、…正直、紬は可愛いと思う。   顔もそこそこ良くて(そこそこ、というのは本人に失礼かもしれない…)、気配りが上手く、性格も良い。   少し天然だが、それもまた悪い所ではないだろう。   どうして、彼氏とか出来ないんだろうと不思議に思ってしまう。       「…?どうしたの?碌?」 「いや…何でも無い…。」     どうやら考えながら、紬の顔を凝視してしまっていたらしい…。 俺は紬から目を逸らし、話題を振った。     「というか、今日は何処へ行くつもりなんだ?」  「ん…と今日はね~…」    ガサゴソと鞄の中を探しだす。     「あ……あったあったっ!これ!この映画を見たいの!」  
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加