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「待ってっ!!」
自分で重心を傾けた力とは反対に力が働き、此処に引き留められる。
振り向いたら俯いた中條がいた。
「行かないでよ…碌…せっかく久し振りにこんなに話せたのに……」
「は……?」
「私の所に居てよ…」
「何言って……?」
「ホントに、解ってないの?」
中條が顔をあげる。悲しそうな、顔。
なんでそんな顔してんだよ。
「だから…何言ってる―――
―――――キキキィィィーーーどんっ
俺の声を掻き消した甲高い音。
鈍い音。
両方聞こえてきた。
人々のざわめき、叫び声、悲鳴。
何故だか悪寒が走った。
「………紬?」
名前を呟いた後、理由も分からず無意識のうちに走り出した。
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