*第三章* 過去ノ噺

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  中條が引き留める声も彼方から聞こえる。     …みんなよく言う。『悪い予感ほどよく当たる』と。   いや、そんな事は無い。心の中で考えを否定して走る。   もう少しだ。   騒ぎの中心は。   大丈夫。 絶対。 きっと。   紬は―――             ……足を止めた。         無造作に止まっている普通車。     スリップした跡。     人垣の中心。     誰か居る。     それに歩み寄る。     長い髪。     小さな体。     頭から血を流して、道路に転がっている。     投げ出された手足。         ……歩きにくそうなサンダル。                 あ れ は … ?  
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