7人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫だよ…私は。」
「……ごめん………ごめん……紬…俺………。」
紬は
「碌の所為じゃ無いよ。」
きっぱりと言い放った。
「飛び出したのは私だし、碌の話を聞かなかったのも私。悪いのは、私だよ。」
勿論、車の運転手の人も悪くないよ。と、少し笑いながら言った。
「……だけど、」
笑顔のままの目、ふいにその目は悲しげな色を含みだし、紬の目いっぱいに涙が溜まっていた。
そしてそれは先程の表情とは裏腹に突然ポロポロと流れ出す。
「やっぱり…少し、怖かった……。碌はすぐに追いかけてきてくれなかったから……。私の事はどうでも良いのかな……とか思ってて、そしたら車、突然突っ込んできて………。……怖かった。」
更に流れ落ちる涙。
それを止める術を持たない碌は、腕の力を少し緩め、
「………ごめん」
ただ謝ることしか出来なかった。
「……そんな風には謝らないで…。…そういう風に謝るなら、許さないよ……百回謝っても許さない…………から……。」
語尾に向かって小さくなっていく言葉。
最初のコメントを投稿しよう!