*最終章* 今の自分に

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  「大丈夫だよ…私は。」  「……ごめん………ごめん……紬…俺………。」    紬は   「碌の所為じゃ無いよ。」     きっぱりと言い放った。    「飛び出したのは私だし、碌の話を聞かなかったのも私。悪いのは、私だよ。」   勿論、車の運転手の人も悪くないよ。と、少し笑いながら言った。     「……だけど、」     笑顔のままの目、ふいにその目は悲しげな色を含みだし、紬の目いっぱいに涙が溜まっていた。 そしてそれは先程の表情とは裏腹に突然ポロポロと流れ出す。     「やっぱり…少し、怖かった……。碌はすぐに追いかけてきてくれなかったから……。私の事はどうでも良いのかな……とか思ってて、そしたら車、突然突っ込んできて………。……怖かった。」    更に流れ落ちる涙。     それを止める術を持たない碌は、腕の力を少し緩め、     「………ごめん」   ただ謝ることしか出来なかった。   「……そんな風には謝らないで…。…そういう風に謝るなら、許さないよ……百回謝っても許さない…………から……。」    語尾に向かって小さくなっていく言葉。
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