7人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな様子を見て紬はくすくすと笑いながら
「碌……なんか可愛いよ?子供みたい。」
その言葉に碌は、
「んな…っ……男が可愛いって言われても嬉しくねぇよっ!!」
まぁガキってのは解ってるけど……等とまだぶつぶつと何か言っている。
紬はそんな碌の様子を見て再びふっと、優しく笑う。
碌はその笑顔を横目で見ていた。
そしてゆっくり顔を紬の方に向ける。
「……あー…紬?」
「ん?」
「えーと…」
そこでちょっと間をあけ、聞いた。
「俺はこんなんで、めちゃくちゃ酷い奴だけど、やっぱり紬が居なくなるのは怖かった…だから…って……いや…こういう事言おうとしたんじゃなくて…」
あー…俺って文才ねぇなぁ…とぼやく。
「だから…ま、とにかくだな。今度はこんな事なんないように……前行き損ねた映画…きちんと、また、一緒に行こうな。」
碌が優しく微笑んだ。
きっと、久し振りにこんな微笑みをしたのだろう。
その顔には少しだけぎこちなさがあったが、そんな事気にならない位に優しいという印象を与える、本当に優しい笑みだった。
最初のコメントを投稿しよう!