*第二章* ある無感情なる部屋の

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  鼻を突く、消毒液の匂い。   白い壁、長い廊下。   等間隔に、並ぶ扉。   時折すれ違う、白衣の人物達。   必要事項のみを告げる、ネームプレート。     その中から必要な物を見つけ出し、その前で立ち止まる。 そして、扉に手を掛け開く。   がらり、と無感情な音がして扉が開いた。     そこは病院の入院用の部屋特有の殺風景さがあった。   「………また…来たよ。」     応える声は有るはず無いのだが、呼びかけた。         部屋の中央にはベッドと点滴がある。   ベッドの上には布団があり、人一人分膨らんでいる。 そこには、少女が一人、いた。   目を堅く閉じて、声にも応えない。     少女は、碌と同じ位の年齢に見える。       「今日は拓瀬が妙にしつこく話掛けてきてさ……何か俺が悩んでるって言うんだよ…。まぁ…あってると言えばあってるんだけどさ…常日頃からだから今日に限って…っていうわけでも無いのに。…何でなんだろうなぁ?何で今日は、バレたんだろ……?」     長い、独り言。   応える声はあるわけ無い。   それでも呼び掛ける。     「……今日が『あのとき』みたいな天気だからかなぁ……。」  
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