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鼻を突く、消毒液の匂い。
白い壁、長い廊下。
等間隔に、並ぶ扉。
時折すれ違う、白衣の人物達。
必要事項のみを告げる、ネームプレート。
その中から必要な物を見つけ出し、その前で立ち止まる。
そして、扉に手を掛け開く。
がらり、と無感情な音がして扉が開いた。
そこは病院の入院用の部屋特有の殺風景さがあった。
「………また…来たよ。」
応える声は有るはず無いのだが、呼びかけた。
部屋の中央にはベッドと点滴がある。
ベッドの上には布団があり、人一人分膨らんでいる。
そこには、少女が一人、いた。
目を堅く閉じて、声にも応えない。
少女は、碌と同じ位の年齢に見える。
「今日は拓瀬が妙にしつこく話掛けてきてさ……何か俺が悩んでるって言うんだよ…。まぁ…あってると言えばあってるんだけどさ…常日頃からだから今日に限って…っていうわけでも無いのに。…何でなんだろうなぁ?何で今日は、バレたんだろ……?」
長い、独り言。
応える声はあるわけ無い。
それでも呼び掛ける。
「……今日が『あのとき』みたいな天気だからかなぁ……。」
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