羅針盤 ~実はただの、方位磁針~

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「ふあぁぁ~……」 大あくび。彼はバージル。記憶喪失だが、呑気な少年である。 「バージルったら寝過ごしちゃうんだもん!」 彼はヤック。猫なのか犬なのかわからない生物だが、バージルよりはしっかりした印象を受ける。 「仕方無いだろ?眠かったんだ。」 「しっかりしてよね、も~。」 「ハイハイ。」 バージルは、苦笑を浮かべながら方位磁針を取り出した。 盤の南の方位の場所だけ白くひびが入っていて、わからなくなっている。 「大分西に来たよね。みんな元気かなぁ。」 「元気だといい…なっ!」 バージルはそんな会話をしながら近づいてきた魔物を蹴った。 「こんな街の近くに……何かあったのか?」 「きゃああああ!!」 二人は顔を見合わせ、 「「行こう」」 と呟き、走り出した。
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