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どす黒く蠢くそれは
ひっそりと
だが、着々と侵食していく。
夜の海のように
寄せては返りを繰り返し、
白い砂浜を黒に染める。
あぁ・・・。
私はもうすぐ
あの黒い波に呑まれるのだ。
不思議と恐怖はない。
それは覚悟を決めたからなのか、諦めからなのか、定かではない。
ひんやりとした感触が裸足の指先に触れ己の感情を麻痺させる。
あぁ・・・。。
侵食は早く、黒は膝たけまで来ていた。
堕ちるところまで堕ちよう。
為す術もなく
寄せては返る波に身を任せ
静かに瞼を落とした。
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