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「…ボクも空を飛んでみたいなぁ。」
辺りが黄昏に染まるなか、豊穣柊は人間では到底叶えられそうもない願いを口にしていた。
それが、今後知らなくてすむことを知らされてしまう願いだと知らずに…。
「そろそろですか…。」
夜の闇に溶け込むようにしてその者は目標となる家の窓の側にたたずんでいる。
青年は軽く窓ガラスをノックしてこの部屋の主である柊に気付いて貰おうとした。
「誰…?」
窓を開けると彼は言葉にならない声を出してしまう。何故なら、黒いコートとシルクハットを身に付けた銀髪の男が宙に浮いているように見えたからだ。
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