497人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
140万のチップは420万になって帰ってきた。
御婦人の称賛の言葉や、青年の驚く表情が、場を支配する。
『チェッ』上村が、ふて腐れて席を立つ
『兄ちゃん!ええ勘してるなぁ』
藤原も的中だか、少し羨ましそうだ。
『チェック』
達也は、ディーラーにそう伝えると、
合計1380万のまとまったチップにチェンジした。
『涼子❗休憩』
興奮覚めやらぬ、涼子を手招きし、レストスペースへ移動した。
『凄かったぁ❗達也って、やっぱり凄いよ』
さっき此処にいた時から、一時間も経っていない。
『で、何だったの?あそこで勝負の訳は?』
バニーに届けられたコーラを一気飲みすると、涼子が尋ねてきた。
『運が良かったんだよ』
軽く返して、涼子にキスをした。
『まさか?ちゃんと教えてよ』
『確率は高かったんだけど、最後はラッキー!涼子の強運かな』
『ん』
はっきりした涼子の目が一層見開き(ちゃんと答えろ)と催促する。
『はい❗種明かしします』
達也は観念して話し始めた。
『ディーラーが、狙い目を自在に操るのは、解るよね』
『ええっ』涼子が、頷く
『最初は、みんなに勝たして、のめり込ましたよね』
『特に、藤原選手のビンゴで、あちこちのルーレットのテーブルが満員になったから、効果抜群』
『そして、その流れで上村投手が加わった』
『上村投手にも勝たすかな?って見ていたら、上村投手は全敗』
『しかも、横で藤原選手が勝つから意地になって、お金を継ぎ足した』
『上村投手って、藤原選手にライバル心丸出しって感じだったわよね』
『そう!それをディーラーが故意に煽った訳だ』
『それで、上村投手のラスト勝負で藤原選手と同じところに賭けたんだ』
『まぁ、状況判断でね。でも、涼子にチップを預けて最終確認もしたんだよ』
『最終確認?』
『ディーラーが当たりを教えてくれたんだよ』
『ええっ❗当たりを教えてくれたぁ』
『彼女の癖がね』
『癖って、何処で、球を投げるかって事?』
『いや、あれはブラフなんだよ、青年達もあれには注目していたからね』
『勿体振らないの』
最初のコメントを投稿しよう!