達也の種明かし

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140万のチップは420万になって帰ってきた。   御婦人の称賛の言葉や、青年の驚く表情が、場を支配する。   『チェッ』上村が、ふて腐れて席を立つ   『兄ちゃん!ええ勘してるなぁ』 藤原も的中だか、少し羨ましそうだ。   『チェック』   達也は、ディーラーにそう伝えると、 合計1380万のまとまったチップにチェンジした。   『涼子❗休憩』   興奮覚めやらぬ、涼子を手招きし、レストスペースへ移動した。   『凄かったぁ❗達也って、やっぱり凄いよ』   さっき此処にいた時から、一時間も経っていない。   『で、何だったの?あそこで勝負の訳は?』   バニーに届けられたコーラを一気飲みすると、涼子が尋ねてきた。   『運が良かったんだよ』 軽く返して、涼子にキスをした。   『まさか?ちゃんと教えてよ』   『確率は高かったんだけど、最後はラッキー!涼子の強運かな』   『ん』 はっきりした涼子の目が一層見開き(ちゃんと答えろ)と催促する。   『はい❗種明かしします』 達也は観念して話し始めた。   『ディーラーが、狙い目を自在に操るのは、解るよね』 『ええっ』涼子が、頷く   『最初は、みんなに勝たして、のめり込ましたよね』 『特に、藤原選手のビンゴで、あちこちのルーレットのテーブルが満員になったから、効果抜群』 『そして、その流れで上村投手が加わった』   『上村投手にも勝たすかな?って見ていたら、上村投手は全敗』 『しかも、横で藤原選手が勝つから意地になって、お金を継ぎ足した』   『上村投手って、藤原選手にライバル心丸出しって感じだったわよね』   『そう!それをディーラーが故意に煽った訳だ』   『それで、上村投手のラスト勝負で藤原選手と同じところに賭けたんだ』   『まぁ、状況判断でね。でも、涼子にチップを預けて最終確認もしたんだよ』   『最終確認?』   『ディーラーが当たりを教えてくれたんだよ』   『ええっ❗当たりを教えてくれたぁ』   『彼女の癖がね』   『癖って、何処で、球を投げるかって事?』   『いや、あれはブラフなんだよ、青年達もあれには注目していたからね』   『勿体振らないの』
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