パーティーの夜

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達也は、現在、東京大学をトップレベルで卒業する寸前だ。   時代背景からか、就職せずに、起業家を目指す(または、既に多少は成り立つ)同級生も、何人かはいる。 大体は『知恵』で『便利』を創造するパターンで、昔なら発明家なんだろうが、ハードよりソフトに傾倒しているのが特徴だ   達也も『挑戦』は大好きだが、達成感を得ると『飽きる』癖もある。   時代のニーズや流行を認知する感性にも優れているので、その何人かの起業家に同じ歩調を求められてもいる。   客観視して、成功するか否かも概ねは判断出来るし、その選択は容易だ 勿論、『成功の範囲』迄は不明瞭だが、一人や数人の知恵が無限の幅を有するとは思えない。   既に一定の成功を遂げた先輩からの誘いもあるし、最近では、怪しげな『ベンチャーへの出資家』なるモノまでもいる。   確かに、達也の日常は、そんな起業家もどきの友人の会社の手伝いで、小遣いを稼いでいる。   多分、世間に出るよりは、いい稼ぎになる。   そしてそこに集う人々は、各々の『夢』を語る。 と言っても、ほとんどは、『自分自身の成功の理由』を語り続けるだけの独りよがりな演説だ   そんなある夜の集まりの出来事である。   達也は、彼女の涼子とそこにいた。 涼子も今年は、短大を卒業で、次の人生は女性キャスターと決まっている 涼子の達也以上の好奇心は、アクティブなキャスターを想像させる。 二人はその『興味』の膨らみから、活動や研究を共有出来るので、達也にも涼子にも、ベストなパートナーだと思える。 涼子も仕事を決めない達也に 『選択を急ぐ必要性はないよ』 『貴方の才能と充実を感じるモノを見つけてね』 …と寛容だ   そして、今夜の主催は、ネットシステムに一工夫した会社を学生ながらに起業した、哲郎 哲郎は丁寧な起業家で、いきあたりばったりの、夢追い人ではない。用意周到にスケジュールを進めるタイプだ。 そしてそんな哲郎に出資した先輩起業家で既に上場を果たし、学生起業家の垂涎の的でもある、藤木さん オンラインゲームでの子育てシュミレーションで、マップ上に各種店舗誘致に成功した、カリスマ女性起業家の長谷川さん まぁ、新進起業家の面々が集うパーティーといった風情だ。   そんな若く意欲溢れるメンバーにも、達也は見劣る事はない
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