豪華客船に集う

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ドリンクや軽食は一切無料。   各種高級レストランやコンサートホールやシアターにプールも併設され、客室もスイートルームタイプで300室以上。 気晴らしにマリンスポーツに出掛けるクルーザーも併走しているそうだ。 ドクタースペースから、ショピングエリアも充実していて、船そのものが、リゾートアイランドとして存在している。   例えるなら、人工の海上カジノシティとして   そして、今夜はそのプレオープン。   達也自身には場違いかも知れないが、圧倒される事もない。   流石に哲郎の企画力に感心しているのも事実だが   『まぁ、予定外の出来事で予算がないから、今夜は傍観者かな』   涼子に相槌を求めると、さえぎるように哲郎が答える   『達也には、1000万の小切手を用意しているから安心してよ』   『えっ?』   『条件は、もし負ければ、我社に就職する事。勿論、帰る時に返してくれれば話は無し。 見るだけで帰るのも良いけど、カジノで達也の頭脳がどう闘うのかは、見てみたいんだよね!達也って、僕以外にも注目度高いんだよ!ギャラリーをがっかりさせないでね』   すっかり、哲郎のペースだ。   ちなみに、達也にとり、カジノのゲームは、ほとんど知らないモノばかり   『余興だから、楽しむか?』   哲郎から小切手を奪うと、目配せで(解ったから向こうへ行け)と促す。   機転のきくのは、お互い様とばかりに哲郎が席を離れた。   哲郎が去るのを待って涼子が問いただしてきた。 『本当にゲームをするの?無茶して人生決めるつもりなの?』   『ゲームで負けた事ないよ』   『あのね、カジノは全部運!それ以外の要素はないって』   彼女は、あちこちのカジノを経験しているのをこの時初めて知った。 (好奇心旺盛なら当たり前か) と、思いながらも、自分だけが知らないとなると、しゃくな気分にもなる   『運は付加的な要素で全てを支配できないんだよ』 『偶然のように見える必然なんて、いくらでも在るんだよ。意図は看破出来るし、イレギュラーを誤差として組み入れれば、理論は構築出来るんだよ』 『もし、雨が降れば、事象としての側面と、理由を解明する側面とがあるハズ!理由を解明できれば、雨は予見出来るって理屈』   『あ~あ!もうやる気満々なんだ』 涼子は諦め顔になる
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