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とは言え、この場合『無知』は大きなハンデになる
『とにかく、ルールブックを探して来るよ』
涼子にそう言うと早速、スフィンクスの腹の辺りに並ぶ、ゲームガイドを手に取り一読する。
そして、バカラならバカラ
ブラックジャックならブラックジャックのテーブルの後方で見学しながら、確認していく。
そして、ルーレットで、達也の動きが止まる。
ディーラーチェンジで、アメリカ人の女性が登場し、第一投!
狙いすましたように(00)に球が吸い込まれた。
達也の頭の中に、ディーラーの意図が写し出される
『私は、狙い通りに球を落とせるのよ』
意図なら看破出来る。
達也の観察が始まった。
球には微妙に大きさの違う、2個が使われている事を発見し、ハイスピードやロースピードの投げ分けをしているのも解った。
傷は無いか?
ディーラーの目線にも気を配る。
(あった)達也の心が踊る
その時、待ちくたびれた、涼子が背後から声を掛けてきた。
『もう私は、お払い箱なの?』
驚いて無難な返事をする
『ゴメン!夢中になってた』
『それでどうなの?何とかなりそう?』
『ああ!光明はさしたかな』
とっさで適当な返事だが、達也の中には、核心めいたものが芽生えていたのも事実である。
『ルーレットって、ディーラーはちゃんと狙い通りに球を投げるんだね?』
一応、カジノでは先輩の涼子に尋ねて見る
『よく解ったね!ディーラーのスクールなんかもカジノのない日本の東京でも、あるんだよ』
達也が頷く
『でも何故、ディーラーが投げる前にお客さんはベットをしちゃうのかなぁ?あれじゃ完全に運任せだし、ディーラーに外して下さいと言っているようなもんだよね』
『仕方ないのよ、ディーラーが投入してから、ノーモアベットまでは時間短すぎて間に合わないでしょ。ルーレットは賭けるところが多過ぎて』
一般にルーレットにクジラ(大口の客)はいないもんだが、素人には受けが良い。
カジノ=ルーレットか、スロットマシンって人が多いのも事実だ。
しかし初めて見るそのルーレットには、クジラがいたのだ。
『涼子!1000万の小切手をチップに変えるわ』
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