学園案内

11/11
前へ
/24ページ
次へ
陽子「あ、兄さん!」 球場に向かっていた勇気と陽子の二人が、陽介を見つけて声をかけた。 陽介「陽子と勇気じゃないか、どうしたんだ?」 陽介は何事も無かったようにあっけらかんと言った。 勇気「どうしたじゃないよ、お前を探してたんだよ?」 陽介「探す?何故?」 勇気の言葉に、陽介は訳が分からないといった様子で首を傾げた。 勇気「何故って・・・お前な。」 陽子「兄さん、忘れっぽいから。」 勇気の言葉に、妹の陽子が苦笑混じりに答えた。 キーンコーンー・・・ 三人が話していると、放課後の終りを告げるチャイムが鳴った。 勇気「あ、もうこんな時間か。どうする学園案内?明日でも良い?」 そんな勇気の言葉に、陽介は思い出した様に手をポンと突いた。 陽介「すっかり忘れてたな。でも・・・」 勇気「でも、何?」 陽介の言葉に疑問を感じた勇気は聞き返した。 陽介「陽子と別れている間に一通り見てきた。」 勇気「え?」 陽子「実は・・・私も・・・兄さんを探しながら一通り・・・」 勇気「ええー!」 二人の突然の告白に、勇気は驚いて声を上げてしまった。 勇気「じゃあ、俺は何の為に今まで待ってたんだよ・・・」 陽介・陽子「「ドンマイ」」 勇気「俺のアフターファイブを返せーーーーーーーーー!!」 放課後の学園に勇気の虚しい叫びが響いていた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加