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あたしは藤崎君の誘いを受け、バス停近くにあるハンバーガーショップに行くことにした。
店内は学生が大半を占めていて、うちの学校だけじゃなく他校も入学式だったみたいで、真新しい制服を着た一年生が多かった。
「あたしは藤崎と同じ中学出身の高瀬菜穂。菜穂って呼んでね!中学の時陸上してたんだけど、高校でもやるつもり。よろしくね」
ぼんやり店内を観察していると、ショートヘアの活発そうな女の子があたしに優しく微笑みかけていた。
部活で日焼けした顔が、サバサバした性格を表している。
「俺は菜穂の彼氏で岡本良幸。山田中学出身で俺も陸上してたんだわ。よろしくなぁ」
菜穂ちゃんに続いて自己紹介をしたのは菜穂ちゃんの彼氏。
短く切った髪に眼鏡をかけていて、どちらかというと体育会系というより文科系の知的な男子に思えた。
「俺はよっしぃと同じ中学出身の大塚卓也。よろしく」
素っ気なく一番簡潔な紹介だった。
四人とも学校は違っても、部活の繋がりで中学からの知り合いらしい。
「佐藤さんは藤崎の彼女なわけ?」
突然、菜穂ちゃんがニコッと笑いながら聞いてきた。
もちろん、回りの男子も興味津々という面持ちであたしの答えを待っている。
あたしはというと、一気に茹でタコのように真っ赤になり―――
「ち、ち、違います!藤崎君のことは全く知らなくて!あっ、あたしは春花です。佐藤春花」
おもむろに付き合いを否定しつつ、一人だけ自己紹介してないことに気付き慌てて自己紹介をした。
何故か、敬語だし。
「全く知らないということなので、もう一度自己紹介しましょうか?」
それまで黙っていた藤崎君が口を開く。
あたしを真似て敬語なのか、言葉は嫌みに感じたけど目は笑っていて優しい顔だった。
「もぅ!佐藤さんをいじめないの」
菜穂ちゃんが藤崎君を笑いながら睨む。
そんな二人のやり取りを見て、あたしも自然と笑顔が零れた。
そういえば今日初めて笑ったような気がする。
あたしはもう一度、静かに微笑んだ。
「それよかさぁ、うちの担任―――……」
四人の中学時代の話を聞いたり、学校の噂話やたわいもない話をして時間は過ぎた。
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