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教室に入るとすでに大塚君と藤崎君の姿があり、ちょうど大塚君が藤崎君に頭を叩かれている場面であった。
「おはよぉちゃんなのだ!」
大塚君はあたし達に気付き、軽く右手を上げる。
続けて藤崎君が振り向く。
「おはよ。佐藤さん、今日も元気?」
藤崎君は毎朝決まってこの挨拶。
しかもあたしだけ。
あたしってそんなに元気無さそうな顔してるのかな?
でもあたしだけの特別な挨拶が、どこか嬉しい自分もいた。
「うん。元気だよ」
疑問に思いながらも、とりあえずあたしも毎朝同じ返事を繰り返す。
「そっか。よかった」
あたしの返事を聞くと、藤崎君はいつも安心したような顔をする。
そんな顔をされると、あたしの胸ははち切れんばかりにときめいてしまうのに。
彼に確かめたいことは日に日に増えている。
どうしてあたしにかまうのか。
どうして「元気?」って聞くのか。
聞いてしまうえばその瞬間、かけられていた魔法が解けるように藤崎君も菜穂ちゃんも、みんなあたしの前から消えてしまいそうで、いつまでたっても確かめることが出来なかった。
知り合ってまだ一週間しか経ってないけど、藤崎君のグループは居心地良くて、落ち着ける場所になってた。
あたしの居場所になっていたんだ―――
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