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香は拓海に、しがみついて訴えた。
「目が見えなくなるんだよ?」
「知ってる」
「一緒に歩けないよ?」 「家の中に入れば良い。それか変わりに杖にもなる。香の目にもなる」
「私より綺麗で目も見える人いるよ?」
「いても香じゃなきゃ意味がない」
香の涙は止まらなかった。 「香が好きだ。例え目が見えなくなっても香といたい。それが俺の幸せなんだよ」
「………」
「香……」
香は、溢れてくる涙を止めるのに必死だった。
「泣かせてゴメンね。けど、たくさん泣いてイイから。ちゃんと、ここにいる」
拓海は強く香を抱き締めていた。
「ゴメンナサイ……」
香は謝って、ただ頷く事しか出来なかった。
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