すれ違い

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香は拓海が起きているなんて知るはずもない。 「拓海……私……」 香の目に涙が溢れだした。 「側にいてくれて…ありがと」 拓海は目を閉じながらも香の言葉に耳を傾けた。 「けど……今のままじゃダメなの……今のままじゃ無理なの……」 拓海は何も言うはずもない。 「ちゃんと…拓海を見てたい。拓海の側にいるだけじゃ不安なのに………」 香はタオルを口にあて泣き声を殺した。 「ん……!」 拓海は声を出すもの香に背を向けた姿勢をとった。もちろんワザとだ。 拓海の目にも涙が浮かんでいたから。
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