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香から話を聞いて三日たっていた。俺は、あの後、どう帰ってきたか覚えがなかった。
とりあえず香を家まで送って「また連絡する」と伝えて……。
拓海は自分の部屋のベットに倒れこんでいた。
と、そこに携帯がなり響く。
拓海は静かに手を伸ばす 。 「もしもし……」
相手は何も言わない。
「もしもし……」
「たくみ……」
香だ。拓海は自然と体を起こした。
「この間は、ありがとう」
香から、お礼を言われた。 「いや、何も出来ないでいたし、お礼なんて」
「ねぇ、拓海」
「ん?」
拓海は優しく返答をする。 「私の事、好き?」
「香?」
香から、こんな台詞を今まで聞いた事がなかった。
「拓海……」
「馬鹿いうな。好きに決まってるだろ」
「………」
拓海は、わざと明るく返答した。そして聞いた。
「香は?」
「え?」
驚いたかのような返事が返ってくる。
「香は俺の事、好きか?」
しばらく沈黙が続く。
「……ねぇ拓海」
「応えてくれ」
話を反らそうとする香に問掛ける拓海。
「………」
「………」
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