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拓海は静かに香へ手を指しのべる。香は首を振る。
「香…俺の側にいて」
拓海は必死になり伝えた。けど香は首を振る。
「ほら、香の隣じゃないと俺、笑えないし幸せじゃないよ」
「………」
「香しか、いない」
香は思いきり首を振る。
「たくさんいるわ。目が見え……」
「俺の目をあげる!」
香は拓海を見た。拓海は何故か優しく微笑んでいた。
「香のその目が見えなくなるのなら俺の目をあげるよ」
香は溢れてくる涙をこられていた。
「それで香が側にいてくれるなら俺は、それでいい。香が側にいてくれればイイから」
香は何も言えなかった。と瞬間的に拓海は香の腕を掴んで自身へと抱き寄せた。 「た、拓海の目なんて……いらない」
香は泣きながら訴える。拓海は、ただ強く香を抱き締めていた。
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