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当日。
2007年7月の始め、ローラを引き取りに仕事仲間と行った私は、院長の言葉に愕然とした。
「人間、ただでもらった物は粗末に扱う。いくらかでも置いて行きなさい」
私はずっと、生き物を金で売買することに抵抗を感じていたから、この院長の言葉に正直戸惑った。
別に金が惜しいわけじゃない。
相手が飼ってほしいと頼んできたのだ。
それを今になって、金をよこせと言う。
院長には頭にきたが、ローラに罪があるわけもなく、私もすでに小屋やら身の回りの物まで散財している。
言われるままに、その場に持ち合わせた二万を渡した。
あるだけでいいと言いながら、あからさまに不満げな態度の院長。
小言のような注意・説明が数十分続き、ようやくローラの引き渡しとなった。
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