第一章 セレブっぽい女性

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とは言え、さすがに最初は、そこの責任者とおぼしきオジサンに不審そうな目を向けられていた。 そして、家を出てから三日目、ついに主人が僕に声をかけて、色々聞いてきた。 しかし僕が、 15歳 中学を卒業したばかり 親公認でプチ家出をしている と答えると、主人は途端に態度を変えて、僕の肩を叩いた。 「そうかそうか、もう中学卒業してんのか! いやぁ、そうだよなぁ、その時期は背伸びしたくなる年頃だしな!」 おいおい、それでいいのかよ。 随分と話が分かる人だなと、僕は半ば呆れ気味で頷いた。 「しかし、家出を認める親御さんってのも珍しいが、ちゃんと連絡はしてんのか?」 咄嗟に首を縦に振った。もちろんそれは嘘だったが、どうやらこの主人は、他人を疑うことをしない性格のようだった。 そしてその日から、週に最低一回は家に帰ることを条件に、僕はそこに寝泊まりすることを許された。 なんだか上手くいきすぎている気がしなくもなかったが、他意がないことはわかったので、好意に甘えさせてもらうことにした。 家には帰らず、週に一回だけは友人の家に泊まらせてもらっていたが、もちろんバレることはなかった。少し胸が痛んだが。
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