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ジッ
(よく弾に当たらなかったね)
「…まぁ…っな。逃げ足だけはっ…速い…んだ」
走りながら答える。
とにかく光(こう)の家まで走るしかない。
すれ違う人はみんな撃ち殺した。その度に涙が頬を伝う。
さっき不良に撃たれた右頬が涙にしみるが、全然そんな事は気にならなかった。
「ぅ…はっ…はぁっ…………ぅぅ…」
ジッ
(泣いてるのかい?)
「うるせぇっ!ぅわあああぁぁああっ!!」
「…なんで俺が人を殺さなきゃならないんだ…」
ジッ
(君は優しいね…僕はもう…涙なんか枯れて…出てこないよ)
「黙れっ!お前に何がわか――――!」
ジッ
(僕は…旧ソ連の人々を皆殺しにした…)
!?
ジッ
(今はロシアだろう?旧ソ連はあるゲームをした。世界最大の土地で殺し合いをする。
僕は駒だった。僕は命令通り、人を殺し続けた。)
何も言えなくなってしまった。
(ソ連はゲームに負け、壊滅した。僕はその勝利者だったんだよ)
「…もう…いい。」
「このゲームを終わらせる!勝ってだ!」
そう言う佑理の背中にはもう迷いはなかった。
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