雹国の剣士

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〝使い魔だと、ただの悪魔には使えないはずだ〟 シフは目を見開く、剣を握って間もないが、手の平は先の緊張から既にしっとりと汗ばんでいる 使い魔は、高位の悪魔が使役する、悪魔、または妖魔等の総称 契約書に詳細不明とは書いてあったが、見た時点で疑問を持っていれば、どれほど良かったことか、後悔先に立たずとはこの事だろう 少年の紅い瞳はより濃く染まり、背後の影が立体的に人の形を成し始めた、そして完全に姿を現した時、シフは驚き、生唾を呑んだ 草原を吹き抜ける風に、甘く薔薇が薫る その使い魔は長い金色の髪が眩しい、白い彫刻のような剣を持った美女だった、淡い緑色のフリルがついたドレスを身に纏っており、背中から、薄茶色の翼が右片方だけ生えている これを見とれてしまった、と言うのだろうか、神話の記された書物、あるいは、神々の描かれた教会の壁画の如く、美しいその使い魔からシフは目が離せなかった 例えるなら天使、呼び出した彼とは違い、闇で生きる悪魔ではなく、日の下に祝福を受けるべき存在に思える 綺麗だ……何故魔の者に使えているのだろうか 「おい、あんまり見とれてると死ぬ事になるよ」
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