雹国の剣士

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その言葉を少年が発したのち、音もなく使い魔は消えた、景色に溶け込んだ、と言った方が正しいかもしれない その直後、風を切る音が聞こえた 横、狙いは足 その一瞬発生する音もシフの耳は逃さなかったが、音より先に、視線と感覚による予測ですぐに飛び上がって回避する、彼の判断の通り、使い魔が足を狙ったため回避出来たが、想像以上に早い剣速であり、くるぶしが少し切られていた なんて速さだ、使い魔でこれだ、主はやはりただの悪魔なんかじゃ無い そんな考えを巡らせていると 足の次は顔に剣がきた、これも速過ぎて頬をかする 自分の強さを過信した結果迎えた、命の危機 出し惜しみをしていれば全力を尽くす前に死ぬだろう、殺意を剥き出しに剣を持つ左手に力を込める すると刀身は一気に霜に包まれ、装甲状の氷が左腕を包んだ、腕を起点に全身が冷気を纏い、場の空気さえ温度が下がってくる 「使い魔相手に鳳凰翼を開放するか…………いいぜ、氷塊にしてやるよ…!!」
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