雹国の剣士

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街道を歩いているとクリーチャーに遭遇した、LVはだいたい8~10のシルバーハウンド2体、何の問題も無い…………とシフは思ったがそれは大きな間違いだった 「鳳凰翼がない……」 しかし問題はこれではない、これも大事だが、それよりもシフのLVの変化が問題だった 戦闘になり彼は気付く、身体がいつもの様に動かない事に 「ウ"ァア"ウウ!!!」 唸り声、または咆哮を上げて襲い来る二匹の狼 一匹は転がる様に回避し、もう一匹は胸元に拳を打ち込むが、力が入らず、手首が挫けた 全力なのに、相手にとっては半端な力、毛皮に威力を殺されて、結果的にはシフが負傷して狼の神経を逆撫でしただけに終わる 体勢を直して再び狼が牙を剥いて襲い来る “避け切れな……” 「守れ、ヘスティア」 シグマが一声呟くと柔らかな風が吹きぬけた、先の戦闘でも召喚した綺麗な使い魔がシフを守る 剣はハウンドを即座に真っ二つにしていた、頭から腰にかけて一閃、そして胴中心、背から腹にかけて一閃と、曲線を描く剣撃は一動作一撃にて二匹を物言わぬ肉に変えている、血飛沫も浴びず、薔薇の香りを帯びた金色の長髪を風になびかせている、戦闘中の場に似つかわしくないこの使い魔の名は【ヘスティア】と言うらしい 〝何故だ、あの程度の敵、すぐに倒せたはずなのに、〟 自分を守った使い魔の背後で、シフは立ち尽くす 反応、反射、速度、力 積み上げてきた全てが………失われていた
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