雹国の剣士

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「どうしたんだよ俺…………」 まるで他人の体の様な違和感に、動揺するシフ、手足は重く、関節は固い 「悪い………言い忘れてた事がある」 呆然と手を見つめるシフへ、シグマが申し訳なさそうに話し始めた 「実は剣の暴走の時、君は鳳凰翼に力を喰われて仮死状態にまでなってたんだ、それで………俺の力を分けて、魂を繋ぎ留めたんだけど、君のLVまでは維持出来なかったんだ」 〝そうだったのか〟 と、シフは理解する、しかしそれよりも、そうまでして助けてくれた事に驚いた、力を削ってまで自分を助けた事にだ、今は違うが、先程までは命を取ろうとしていた間柄である 「……分かった、それで今の俺のLVは」 「“5”だ、俺も力を削って10になっちゃって……使い魔もヘスティアLV9以外召喚出来なくなっちゃったな」 〝また全部最初からって事か……………いいだろう〟 失ったものは大きい、大きすぎる、が、自分にはまだ“命”がある、せっかくのチャンスだ、悲観的になるのはよそう 〝まだまだ未熟だったんだし、自分を見直す良い機会だ、とりあえずまずはシグマに礼を言うか、〟 シフは顔を上げてから、シグマに頭を下げる 「まぁ………ありがとう」 言われたシグマは気恥ずかしそうに背中を向ける 「………あ"ぁ~~、痒い、背中痒いわ、ま、俺の事情によるもんだから礼なんていいよ、それより君は振出に戻ったんだ、スタート地点はここからだけど」 「あぁ、わかってる……………長い旅になりそうだ」 心を新たにし、シフはニダヴェリールに戻った、フロルを長く待たせてしまっている
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